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基礎の舌診断法

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基礎の舌診断法 舌質の色

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次に舌の色を診ます。

舌色(ぜっしょく)の「白い」とか「紅(あか)い」というのは、赤血球のヘモグロビン(Hb)の量と関係しています。

下図のAのように発熱して血行が良くなり過ぎると赤い「紅舌(こうぜつ)」や「絳舌(こうぜつ)」になります。Bのように血液が薄く、ヘモグロビンの量が足りなくなると、白い「淡白舌(たんぱくぜつ)」になります。正常の色は淡紅舌です。

舌色と舌尖の血液の流れと淡白舌や紅舌のメカニズム

舌質の色が「淡白舌(たんぱくぜつ)」の場合、中医学では、血虚(けっきょ)や気虚(ききょ)を疑います。実際、西洋医学的にも舌質に届くヘモグロビンの量が少ないために白くなります。貧血の女の人の顔色が真っ白になるのと同じです。

逆に「紅舌(こうぜつ)」というのは、ヘモグロビンの量が多いです。血液量が多いのは熱証です。誰でも1kmランニングしたら、舌は少し紅(あか)くなります。

さらに感染症などの発熱で赤さが異常に濃く紅紅なると「絳舌(こうぜつ)」になります。「紅舌(こうぜつ)」はピンク色から赤色くらいですが、「絳舌(こうぜつ)」は深紅(しんく)です。実熱証や感染症です。

また、血行が悪い「瘀血(おけつ)」の状態では、「紫舌(しぜつ)」「青紫舌(せいしぜつ)」となります。これは静脈の色です。

ヘモグロビンは酸素(O)とくっついた「酸化ヘモグロビン」の状態では赤く、動脈にのって組織に行き、酸素を離した「還元ヘモグロビン」の状態では青い静脈の色になります。よく異種格闘技戦などで頚動脈に締めワザをかけると、顔面は「チアノーゼ」を起こして、青紫色(あおむらさきいろ)になり、むくみます。これは、脳に酸素が行っていない状態なので、放っておくと失神します。深刻な心臓病などで、末梢へ酸素が届いていない人は、普段から顔面はチアノーゼですし、唇や舌といった血管の豊富な組織は紫色に見えます。舌色が紫色の「紫舌(しぜつ)」は瘀血(おけつ)という血行の悪い状態をあらわしています。

紅舌  絳舌 淡紫舌
53才、リストラ、ストレス、全身のむくみ、イライラ、疲労感 65才、不眠、膝関節痛、腰痛 56才、手足のしびれ
絳舌、黄腐苔 紫紅舌、裂紋、少苔 紫舌、白黄膩苔
ヘルペス、左顔面痛・マヒ、心臓病 うつ病、食不摂生、肥満 肝臓癌
舌中淡青紫色、裂紋 絳紫舌、白膩苔 舌辺の瘀斑
心不全、胃寒 高血圧、脳梗塞、肥満 心筋梗塞