ワサビ(山葵)Wasabia japonica、
[気味]辛、温
[帰経]脾・肺
[主治]胃液分泌を盛んにして、消化を助け、魚・鳥・ソバ毒を解す(温中健胃・涼血解毒)。
日本特産で、学名を「ワサビア・ジャポニカ」といいます。
江戸時代の人見必大著『本朝食鑑』に、
「『延喜式』(927年)に山薑を和佐比(わさび)と訓む。飛騨の国はこれを献納する。」
とあり、平安時代には、宮中では使われており、江戸元禄の頃には栽培が一般に普及していました。
香が高く辛味も強く、数少ない日本の香辛料の中で、最も優れたもの。刺身や魚料理に欠かせません。
ワサビは日本の特産種で、元は深山の清流に自生していたアブラナ科の多年草です。静岡県の天城山と長野県の穂高は有名な産地。静岡ものは辛さが強く、長野ものはあっさりした辛さだといいます。ワサビは山間の涼しい場所を好みます。
優れた消臭効果、殺菌効果があります。
生の魚を使う刺身や寿司にわさびを使うのは大変理に叶ったことなのです。
また、香味成分の効果で食欲を高めると共に、消化液の分泌を促し、消化を助けるという役割もします。
鼻にツンと一瞬だけ抜けるような辛味の正体は、アリルイソチオシアネート(アリル芥子油)という成分です。
ワサビにはシニグリンとミロシナーゼという二つの物質が存在し、すり下ろすことによって接触し、強烈な辛みのアリルイソチオシアネートができます。
これは、細菌の増殖を抑制する働きがあり、食中毒予防に効果があります。
ただし、揮発性の物質なので、すりおろしてから時間が経つとなくなってしまうので、わさびは食べる直前にすりおろすのがおすすめです。
ワサビは金気を嫌うので、生のわさびをすりおろすときは、できれば目の細かいサメ肌のおろしを使い、茎のほうから練るようにします。金属のおろし金を使うときは、すった後にすぐ別の容器に移すことです。
ぬらした新聞紙に包みラップして、冷蔵庫に入れておけば1ヵ月は保存できます。
日本原産のワサビは、「本ワサビ」とよばれ、スルヒィニルという物質を多く含んでいて、これには抗菌や血液浄化・抗酸化作用などが確認されています。が、チューブ入りのワサビや粉ワサビには西洋ワサビが使われ、スルヒィニルはほとんど含まれていない場合もあります。
・「鯛の刺身」を食する場合
・鯛は、甘味く身体を温める性質がある。効能は、人体を益し、五臓を補い、腹中を温め、気血を滋(ま)す。鯛は「陰中の陽」であり、足の太陰、厥陰、少陰に入って気を益し血を補うが、多食すると、火を動かし熱を生じるものである。鯛が肝腎脾胃の温補の剤である。
・しょうゆは、鹹味と甘味があり少し冷やす性質である。効能は、一切の飲食および百薬の毒をも消す。
・ワサビは、辛味く身体を温める性質がある。効能は、魚毒を消し、胃液分泌を盛んにして消化を助ける。
・シソは、辛味があり身体を温める性質がある。効能は、身体の中の冷えを温めてこれを気として発散し、心身ともによみがえらせ、魚毒を解す。
考察
本草書人見必大著『本朝食鑑』に、「鯛は「陰中の陽」であり、足の太陰、厥陰、少陰に入って気を益し血を補う(鯛が肝腎脾胃の温補の剤である)が、多食すると、火を動かし熱を生じるものである。」とあります。
刺身を食べる時には、しょうゆやワサビを入れてシソで包んで刺身を食べるとよいです。
鯛の刺身をたくさん食べると胃に熱が付き腹部の膨満感を生じやすくなります。
しょうゆをつけることによりその熱を和らげ、シソによって魚毒を解し、ワサビで魚毒を解し腐食を予防します。
なお、しょうゆには魚毒を解す働きもあります。理にかなったとり合せです。
・若い葉や茎は、ワサビ漬け・しょうゆ漬け・和え物などに使うと美味しい。

