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薬草クラブ オケラ1(オケラ)

オケラ(キク科)Atractylodes japonica Koidz. ex Kitam 根茎を生薬名・白朮

寄贈者名・産地・年月日・経歴:1996、和漢薬研究所

 

 

 

[起原]キク科のオケラの根茎。日本薬局方ではオケラの皮を除いた根茎をいう。

[気味]甘・苦、温

[帰経]脾・胃

[主治]胃下垂・胃アトニー(健脾益気・燥湿利水・固表止汗・安胎)

 

日本書記天武天皇十四年十月八日に百済の僧法蔵が、優婆塞(うばそく)(俗人男性だが仏教を信奉して戒律を守っている人)の金錘を美濃に遣わして白朮(をけら)を煎(に)しむとあり、十一月二十四日に「白朮の煎たるを献(たてまつ)れり」。これが白朮の最初の記録です。一ヵ月以上かけて煎じたものは、今日の流エキス剤のようなものと思われます。また播磨風土記(はりまふどき)や出雲風土記にも白朮と書いてオケラと読ませ、山野に生えている様子を知らしめてくれます。万葉集東歌相聞では、万葉仮名で「宇家良我波奈(うけらがはな)」と詠ませます。

 

『万葉集』に

「恋(こひ)しけば袖を振らむを武蔵野の宇家良(うけら)が花の色に出(づ)なゆめ」(巻14-3376)

「我が背子(せこ)をあどかも言はむ武蔵野のうけらが花の時なきものを」(巻14―3379)

(あなたのことをどう言い表せば良いかわからないほど心がひかれます。武蔵野のうけらの花のように、何時とはなく恋しく思っています)

 

と詠まれ、「万葉」の昔から「ウケラ」の名で親しまれており、邪気と悪臭を取り去るのに用いる習わしがあり、京都の八坂神社では朮祭があり、大晦日から元旦にかけて、これを材料にしたかがり火を焚き、初詣の人々はそれを火種に持ち帰り、灯明や雑煮の煮炊きに利用するそうです。

 

民間での利用は、火にくべていぶし、衣類の虫干しに用いたり、室内でいぶすと湿気を払ってカビの発生を防ぎ、蚊取りにも効果があるそうです。

 

白朮の根茎は胃や腸に滞る余分な水を除き漢方薬の五苓散や四君子湯などに配合され、正月の「屠蘇散」の中にも入っており、身近な薬草の一つでもある。

 

オケラを食べる

 

「やまでうまいものはオケラにトトキ(ツリガネニンジン)嫁にやるのも、惜しゅうござる」と、うたわれるほど美味しい野草。

茎のあまり高くならない4~5月頃、先のほう10cm位をつまみとります。さっとゆでたら、2~3時間水にさらして調理します。

あえもの・ゴマよごし・おひたし・煮びたし・汁の実、なんでもふつうの青菜のように調理できる。

また、軽く塩ゆでした物を、炊きたてのご飯に混ぜ込んだオケラご飯もおいしく、天ぷらにしても風味があっておいしい。