オウレンCoptis japonica var.major
[気味]苦、寒
[帰経]心・脾・胃・肝・胆・大腸
[主治]下痢止め、健胃、整腸結膜炎、ただれ目(清熱燥湿・清熱瀉火・清熱解毒)。
コセリバオウレン、セリバオウレン、キクバオウレンをまとめて広義にオウレンCoptisjaponica という。
コセリバオウレンは大きな葉が3回3出複葉である。
セリバオウレン var. major は本州、四国に分布し、葉が2回3出複葉。葉以外に差はなく、区別は困難という見解もある。ウスギオウレンとは葉が同じである。
キクバオウレン var. anemonifolia は北海道(南部)、本州の日本海側に分布し、葉が1回3出複葉。
(3回3出複葉) | (2回3出複葉) |
平安時代から、書物にその用法があり、屋敷の片隅に応急用として栽培されていました。
加賀、能登、越前、丹波、但馬が産地として知られ、山地の湿った木陰に生える半常緑の雌雄異株、時に同株の多年草です。
早春、透明感のある白い小さな花をつけ、袋状の果実が開き、種子を散らして繁殖します。
貝原益軒七十九歳に著した『大和本草』(一七〇八・宝永五年刊)に、黄連は「常州(常陸)の産尤も佳也、加州(加賀)の産多し、是亦よし。故に中夏(華)・朝鮮にも日本より多く渡る。中夏の書にも倭黄連を良とす」と述べ、この時代ごろから日本産黄連の品種は、中国や朝鮮といった海外の医薬学者によって高く評価され、交易品として盛んに輸出されるようになりました。次いで小野蘭山(一七二九~一八一〇年)口授『重修本草綱目啓蒙』に「加州に産するものは、形肥大にして根頭三五枝にも分かれ、鷹爪(たかづめ)、鶏爪(とりづめ)黄連と称するもの、多くは越中の産も総じて言う」越中とは富山県西部から石川県に跨ぐ地域を指し、具体的な生育地を明らかにしています。やや下って文政一年(一八一八年)、江戸で本草回譜を描き上げた本草学者岩崎常正(灌園(かんえん))の『草木(そうもく)育種(そだてぐさ)』下、薬品わうれん(黄連)の項をみると「加賀菊葉黄連上品なり」とあり、どうやら先人たちの衆目一致してキクバオウレンを推奨しているようです。加賀黄連は流通商品名、生植物の自生地は越中、その葉形は菊の葉に似て広く、根茎は肥大して太く、これを調整して薬品にすれば佳品である。ということになります。
生薬名はこの根茎を黄連といい、生育は遅く、一年に数ミリしか伸びません。
黄色の根が節状に連なることから黄連といい、なめると苦い味がし、苦味健胃薬として利用されます。
首から上の炎症を取り、のぼせ、ふけ症、いらいらに特効的に効き、その成分ベルベリンは消炎作用があり、下痢止め、健胃、整腸結膜炎、ただれ目に効果があります。
煎汁に殺菌力があり、眼病の洗眼用、そのほか切り傷など外用に用います。
また口内炎には、これを口に含むと炎症を除き、二日酔いのような胃の炎症は、冷ましてから飲むと効果があります。