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薬草クラブ オウギ(黄耆)

キバナオウギ・黄耆(マメ科)Astragalus membranaceus Bge

 

[気味]甘、温

[帰経]脾・肺

[主治]内臓下垂・息切れ・めまい・腹脹・下痢・自汗・風邪を引き易い・皮膚の潰瘍・むくみ・尿少(補気昇陽・益衛固表・托毒生肌・利水消腫)。

 

中国高等植物図鑑第二冊、頁424・図2577には、朝鮮半島北部からアムール川流域、中国東北部、華北、甘粛、四川、チベットと広い範囲に分布するとあります。

日本への生植物の導入は、第二次大戦中または末期のころと考えられます。

 

黄耆は、神農本草経に「味甘微温。山谷に生ず。癰疽(ようそ)、久しく敗れし瘡を治し、膿を排し、痛みを止む。大風、癩疾(らいしつ)、五痔、鼠瘻(そろう)。虚を補う。「小児の百病主る」という薬物。

皮膚の血行が悪く冷え、表面から水分を気化して発散できず、出るべき汗が皮下に溜まり諸々の皮膚疾患に罹ったりします。このような時は、桂枝の薬力を借り、血行を促しつつ滞った水分を排除するといった作用を持っています。

黄耆は単独で持ちいる事はありませんが、栄養豊富なので病中・病後、また疲れて虚した人に当帰や人参の力を借り、滋養強壮の役割を果たす補益剤です。

防已黄耆湯、補中益気場、十全大補場、黄耆建中湯、当帰港ほかに配剤、また「紫華栄」にはなくてはならない補益剤として重用されています。

 

漢薬「黄嘗」の基原植物は、中国原産のキバナオウギで、その多年草の太い根を採り乾燥したものと言われています。

移植困難な植物の一つで、繁殖には種子を直播し、間引いて株間15cmとします。排水の良い火山灰土に良く生育、収穫は実生から2~3年に掘り採ります。したがって種子は毎年収納して置かなければなりません。

 

薬膳では癌患者に黄耆の入った粥が供され、気虚、血虚の人は、黄耆と当帰を鶏肉と共に料理する献立が出されます。中国では、黄耆は人参に匹敵するほど大事な薬として重用されており、「紫華栄」の中で、なくてはならない補益剤として配合されています。

 

効用

内モンゴルで栽培された黄耆が最高とされています。一般に3年間生長させたものを収穫します。噛むと甘味があるのが優良品とされます。

 

①免疫調節作用:骨髄の造血作用を促進し、血液中の白血球の総数とその働きを増強する作用があり、また赤血球の免疫機構を高めます。

細胞免疫、液体免疫についても、抗体の生成を促進して、その機能を増強させる力を持っています。

さらに、抗ウイルス・抗腫瘍作用も持っています。

 

②血圧を安定させる:心臓の冠状動脈を拡げ、心臓や脳の血流量を増やし、しかも心筋での酸素消費量を低下させる作用があります。さらに末梢血管にも作用し、高めの血圧を安定させ、ゆるやかな降圧作用もある。

 

③抗老化の働き:老化による各機能の低下を食い止めます。

疲労、酸素欠乏、低温に耐える力を高め、肝臓や腎臓の病的な障害軽減します。

 

④肌の生長をうながす:皮膚や粘膜の損傷を修復するので、傷口の回復や潰瘍の修復に欠かせません。

糖尿病の患者の傷口の回復も早めます。

 

⑤環境への適応力「アダプトゲン」を高める:ストレスに対する適応力を高める。

a 副作用がなく、長期間服用できる。

b あらゆる器官に作用する。

c 身体の働きを常に正常化しようという働きがある。

(路京華著『免疫力』)

 

オウギを食べる

・甘微温で栄養が豊富ですから、虚証の人の補剤として用いられます。薬膳では癌患者に黄耆の入った粥が供され、気虚、血虚の人は、黄耆と当帰を鶏肉と共に料理する献立が出されます。中国では、黄耆は人参に匹敵するほど大事な薬として重用されています。

・中国では、オウギ茶として葉と茎を炒ったものが販売されている。また、若芽を天ぷらやギョウザの具にしても美味しいです。