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薬草クラブ

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薬草クラブ レンコン

 

1、レンコン

[気味]甘・苦、寒

[帰経]脾・心・胃

[主治]胸苦しさを除き、食滞を消し、酒毒・蟹毒を解し、産後の古血を散らす。利尿と共に便通をよく老廃物を排泄する(清熱潤肺・涼血化瘀・健脾開胃)。

生:凉血散瘀・清熱生津 各種出血、目赤疼痛

熟:健脾開胃・養血生肌・止瀉 下痢、疲れ、食少、貧血

 

2、荷葉(かよう)(ハスの葉)

[気味]苦、平

[帰経]肝・脾・腎

[主治]頭が脹れる・頭がボーとする・発熱・尿が濃い、止血、下痢止め(清熱解毒・止血・止瀉)。

 

3、蓮子(れんし)(ハスの種子)

[気味]甘・酸、平

[帰経]脾・腎・心

[主治]慢性下痢・遺精・帯下・尿失禁・動悸・不眠・煩熱。滋養商品であり、沈静、精神安定(健脾止瀉・益腎固精・養心安神)。

 

4、蓮房(れんぼう)(ハスの果托=茶褐色になった花托)

[気味]苦・酸、温

[帰経]心・肝

[主治]下血・血尿・不正性器出血などに炒炭して用いる。

 

5、藕(ぐう)節(せつ)(ハスの根茎の節部)

[気味]酸、平

[帰経]肝・肺・胃・膀胱

[主治]収渋止血と化瘀で、伝統的な各種の止血薬。

 

蓮のねはあぢいひああまくひえのもの ねつしてのどのかわくにそよき(蓮の根は味わい甘く冷えのもの、熱して咽喉の渇きによい)

はすのねは五さうおきなひむしによし おほくしよくしてきをふさくもの(蓮の根は五臓を補い、虫によし、多く食すれば気を塞ぐもの)

はすのねはらうさひによしたんによし すハぶきのある人はいむべし(蓮の根は癆瘵によし、痰によい、咳ある人は慎むべし)

はすのねハはなちたりつつ上きして ちをはきくちのねばるにそよき(蓮の根は鼻血たれつつ上気して 血を吐き口が粘るによい)

 (『和歌食物本草』)

 

ハスは古い時代、恐らく仏教伝来のころに将来されたものといわれます。

そして根茎を食用にする「食用ハス」は明治8年導入と記録されています。

分布は、オーストラリア北部からインドネシア、パキスタン、カスピ海南岸、トルキスタン、中国東北部(旧満州)北緯四三度付近から日本の北海道に至る広範囲に及ぶという。

日本列島にもかつて自然分布したが、何らかの理由で滅び、その後数回にわたり中国から導入し現在に至るといいます。

 

インドではハスは古くから水と大地の象徴で、すべての命の根源でした。

後の仏教でも花を時空を超えた宇宙と見て多くの曼陀羅を作り、内なる宇宙の中心である心臓もこの花の形をしていて、悟りを開けば蕾が開くと考えました。

 

また泥の中から清らかな花を咲かせ、葉が水をはじくので、肉欲や物欲などを超越した純粋性や極楽浄土の象徴でもあります。(2006年「第2回鑑真和上と栄叡大師のおこころ」中国揚州市・大明寺住職・能修方丈の講演)

 

効用

冬は、レンコンの旬の時期です。身体に溜まる毒素を排泄する働きがあり、食卓に並べたい食材です。

・風邪、咳、疲労回復、喘息に、レンコンをすりおろし、そのしぼり汁盃一杯ほどに熱湯を注ぎ、塩または蜂蜜を入れて適当に味をつけ、熱いところを飲みます。咳がひどい時は、生のしぼり汁をそのまま飲むと効きます。生のしぼり汁は速効性の疲労回復剤となります。

 

・咳止め・痰切に、生のまますりおろした汁に生姜のおろし汁を入れ、好みで黒砂糖を加えお湯を注ぐ。

 

・各種止血に、レンコンにはタンニン、鉄が多いので、すぐれた止血作用もあります。胃潰瘍、結核、婦人病の出血に効果があります。これらには皮つきのまますりおろしたもののしぼり汁を、毎日コップ半分ほど飲みます。蓮根の節の部分や花托の方がより効果があります。

 

・鼻血にはレンコン汁をたらすとよく効きます。

 

・カニの中毒、悪酔いに、しぼり汁を飲みます。

 

・老衰防止に、体に元気をつけ抵抗力をつけます。これは細胞に活力をつけるので、老年期の人など、ときどき玄米にレンコンを入れた、レンコン粥を食べると体も温まり、老衰防止にも役立ちます。病弱者もレンコンをきんぴらや煮物、くずとじなどにして常食するとよいのです。

 

・不眠、ノイローゼに、鎮静作用があるのでイライラもとれ、神経の疲労も少なくなるので眠れるようになり、ノイローゼ等にも有効です。

 

・美肌、シミ、吹出物に、末梢の血行を盛んにして、皮膚の新陳代謝もよくなり、内臓全体の働きもスムーズになるので、美容、吹出物、シミなどのためにも効果があります。

 

レンコンを食べる

・矢羽根蓮根

材料:蓮根1節、酢カップ2、砂糖カップ2、塩少々、昆布だし粉少々

作り方 レンコンの皮をむき、斜めに輪切りする。甘酢で2分くらい煮る。酢からだして矢形にして供す。

各食材・調味料・薬味の四気・五味・効能

・レンコンは、甘味があり身体を冷やす性質がある。効能は、胸苦しさを除き、胃を開き、食滞を消し、酒毒および蟹毒を解し、産後の古血を散らす。また、利尿作用と共に便通をよくし、体内の老廃物や毒素を排泄する。

・酢は、酸味と苦味があり温める性質がある。効能は、瘀血性出血・食欲不振・消化不良・食中毒を消し、

痰水(水毒の一種)・血病を遂い、魚肉菜および諸虫の毒気を殺す。

・砂糖(白)は、甘味があり、身体を冷やす性質がある。効能は、心肺部を潤化し、酒毒を解す。

・塩は、甘味と鹹味があり冷やす性質がある。効能は、脾胃を調和し、食べ物を消化し、食中毒を解す。

・昆布は、甘味と鹹・酸味があり身体を冷やす性質がある。効能は、積堅を破り、水腫を利し、瘰癧を消す。


考察

酢の温性以外は全て寒性ですが、温性の酢と煮ることにより平性になります。

五味は、調味料によってバランスが保たれており、臓腑経脈への帰入も調っています。
熱性の食べ物の多いお正月料理の一品に添え、食べ過ぎによる腹滿や腹脹、酒や蟹魚や肉などの毒気を除いてくれます。

 

・蓮子粥

種子の寿命は長く、2千年前の検(け)見(み)川(がわ)遺跡の種子が花をつけた話(大賀ハス)は有名です。

その生命力は漢方でも認められ、滋養強壮の薬とされています。

古代中国では百疾を除き老化を防ぐ食品とされ、現代でも薬用のほか饅頭の餡や点心に加工しています。

材料 ハスの実の粉末または実10g、米1/3カップ、塩または蜂蜜または砂糖 少々(1人分)

作り方 粉末を用いる場合は、粉末を水で溶き、米が炊けてからそれを入れ、しゃもじで軽く混ぜ合わせ、弱火でゆっくり煮る。乾燥した果肉を用いる時は前日から水にひたし、翌日米と一緒に火にかけて炊く。

各食材・調味料・薬味の四気・五味・効能

・ハスの実は、 甘味と酸味があり平性の性質がある。効能は、慢性下痢・遺精・帯下・尿失禁・動悸・不眠・煩熱を治す。滋養商品であり、沈静、精神安定に。

・米は甘味があり平性の性質がある。効能は、気力増進、血脈を通し、五臓を和らげ顔色良くする。米は少しも毒気ない。

・塩は、甘味と鹹味があり冷やす性質がある。効能は、脾胃を調和し、食べ物を消化し、食中毒を解す。

・ハチミツは、甘味があり平性の性質である。効能は、胃腸の働きを助け、五臓の調整安定、百薬の調和、百薬の解毒。


考察

食材は平性ですが、煮ることによって温性に傾きます。

五味のバランスは、酸味と甘味、鹹味の組み合わせは他に無いおもしろい組み合わせです。

臓腑経脈は食材のハスの実と米がほとんどに帰入し、調味料も良いバランスを保っています。

これは、滋養強壮、慢性の下痢、嘔吐を止め、精神を安定させるのに効果があります。
但し種子の中心にある青い芯を除かないと嘔吐をもよおすことがある。便秘また腹が張りかたまりのある人には不適です。