ムラサキナツフジMilletia reticulate Benthm(まめ科)
改定増補新牧野図鑑(1989)初版にも、大井新日本植物誌にも収録されていないが、寺崎日本植物図譜370頁、1430図に「ムラサキナツフジ」と収録。
南中国から台湾まで分布、琉球では野生化、薩摩では観賞用に栽培されている。
ムラサキナツフジを錯甲藤と紹介したのが『質問本草』。
薩摩侯島津重毫の遺志で、当時の我が国の本草学者に知られていない琉球以南、中国南部に至る植物を、琉球人の呉継志という仮想の著者をたて、中国の学者に本草を質問、その答を収録して纏め、それを我が国で刊行したと言われる興味ある典籍。しかし未だ閲覧の機会がない。
中国側の資料では、Milletia reticulataを中国高等植物図鑑第二冊では鶏血藤、蔓及び根を薬用。
分布は江蘇、浙江、安徽、江西、湖南、湖北、広東、広西、雲南、福建、台湾。
中薬大辞典には昆明鶏血藤の薬物名を付し『植物名実図考』一八八四年の出典。
苦・温、気・風を散じ活血、舒筋活絡の効があり、腰、膝を暖めるとあった。
中国本草図鑑、浙江薬用植物誌などにも同様の記載があった。
日本の漢方では用いることはないのに中医学では繁用生薬、比較的新しく開発された薬物のようだった。
ツバキに夏ツバキがあるように、フジにも夏藤というべきものがあります。
それがこのサッコウフジです。原産地が台湾~中国南部であることからわかるように、暖地向きのフジで、暖地以外では露地での越冬は困難です。
園芸店では台湾サッコウフジという名前で出ていましたが、サツマサッコウフジとも呼ばれます。
特に、紫の花が咲く品種はムラサキナツフジとも呼ばれます。