本州、四国、九州、沖縄に自生。台湾、朝鮮半島、中国にも分布する。夏になると、葉に白斑が出現するこの野草は、古い時代の人の関心をひいたに違いない。和名のカタシログサ、中国名の三白草ともに、よくその草の性状をあらわしている名である。
七十二候の半夏生の時、葉の上3枚ほどが白くなるからこの名があるようです。
「大和本草」(1708)は三白草の漢名にカタジロの古名をあげ、「いまわが国では俗名として半夏生草ともいう。
五月の半夏生の時、この草が白くなるから」とし、このとき、葉の裏が青いので、カタジロと言うと記している。
半夏生は、夏至から11日目にあたる日で、太陽暦の7月2日ごろになる。梅雨が明け、たんぼの農作業も一段落して、やれやれというころで、いまでも農村では、半夏生の休息日にあてているところもある。
江戸時代の多くの本草書では、このほか半夏草、オシロイカケ、ハンゲグサなどの名があがっており、「本草綱目啓蒙」(1803)には伊勢の方言として、ハンゲショウがのっている。古名のカタジログサは、江戸時代になるとハンゲショウの名に変わり、和製漢字の半夏生や片白草が生まれた。葉の半分がおしろいで化粧しているようだという点から半化粧の説もあるが、やはり本草学者が言う暦のうえの半夏生説をとりたい。
薬用部位・開花・採集時期:開花は6~7月。収穫は、7~8月、地上部を刈り取り、天日乾燥。
効能は、利尿、はれもの。
繁殖法:半日陰に、11月ころから芽を2~3個ずつ分けて植える。
効用
・利尿 1回量10~15gを水300㏄で1/3量に煎じて服用する。
・はれもの 軽く一握りを水400~600㏄で1/3量に煎じ、これで洗う。また生の葉に少量の食塩を加えて砕き、患部に当てる。