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薬草クラブ

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薬草クラブ ナズナ

 

[気味]甘、平

[帰経]肝・胃

[主治]五臓を利し、目を明らかにし、胃を益する(清熱利水・涼血止血・平肝明目)。

 

薺(なづな)うんあまくどくなしかさにいむ 気をもうごかす中をやハらぐ(萕は温で甘く毒なし瘡に忌む、気をも動かし中を和らぐ)

なづなねハ目のいたミをぞとむるもの しるもミだして中へ入べし(なづなは目の痛みを止めるもの、汁も見出して中に入れるべし)

なずなの実目をあきらかにいたミとむ 卯月八日にとりてをくべし(なづなの実は目を明らかとし痛みを止める、卯月八日に採りておくべし)

(『和歌食物本草』)

 

よく見れば なずな花咲く 垣根かな

(芭蕉)

 

春の七草で有名なナズナ。撫菜(なでな)、愛(め)ズル菜の意味が転化してナズナになったとされています。

『物類称呼(ぶつるいこしょう)』には「ペンペングサは果実の形が三味線の撥(ばち)に似ているからです。江戸ではペンペン草、尾張にて爺(じじい)の巾着(きんちゃく)、津軽にて雀のダラコと言う。」と書かれています。

 

四方に打薺(うちなずな)もしどろもどろかな 

(芭蕉)

 

全草の抽出エキスは強力な止血作用があり、子宮出血や肺・腸出血の止血薬として用いられる。第一次世界大戦で麦角・・ヒドラチス根などの止血剤が欠乏した時にナズナが代用薬となったくらいです。その他、利尿・高血圧に、下痢や腹痛には黒焼にして服用します。

卯月八日、ナズナを採りていて、常に用いると瞳子がよくなるという言い伝えがあります。根・果実・葉を煎服すれば眼疾を治し、また眼の痛みには根の煎汁を飲み、目の充血には目を洗うと不思議に治るといいます。また古書には「花を席下に布けば虫を、また蚊・蛾を避ける」とあるように、花を畳の下に散布すれば蚊除けとなるといわれます。

『ギリシャ神話』に「種子は胆汁及び血液排除の目的に内服し、鼻血や月経障害に、また月経を動かして胎児を殺す」とあって、堕胎の目的に使ったようです。

近代医学でもナズナは子宮を収縮する作用があることが分かっています。

ナズナの花言葉は「すべて君に捧げる」だそうです。

 

効用

眼底出血・消化器他の異常出血(全草):1日5~15g煎じて服用すれば強い止血作用で、眼底出血、肺出血、消化器からの出血に効果があります。月経不順、子宮出血などの異常出血に効果があります。また、利尿、解毒、解熱剤として慢性腎炎、浮腫、肝臓病、高血圧、便秘に効果があります。

・子宮・肺・腸の出血、水腫、利尿、高血圧には全草を乾燥したもの10~15gを煎じて服用。

・下痢・腹痛に全草または葉の黒焼を服用。

・目の痛みに根または種子を煎じて服用。

・めまい、ふらつき、目の充血、眼痛:ナズナ+決明子、菊花

・吐血、かっ血、鼻血、歯ぐきの出血:ナズナ、側柏葉(ソクハクヨウ)、藕節(グウセツ)をそれぞれ12g、水で煎じ、服用する。

・慢性痢疾、消化器潰瘍の出血:ナズナ、白芨(シランの球根)それぞれ15gを水で煎じ、服用する。

・腎結核、血尿、泌尿器系結石、乳状の尿、あるいは婦人の赤色・黄色帯下

(1)ナズナ、車前子(しゃぜんし)各18gを水で煎じ、服用する。

(2)腎結核、血尿に対する別の処方:新しい薺菜240g(干したものなら30g)と水3碗を土鍋に入れて煎じ、1碗分の汁になるまで煮て、鶏卵1個を割って入れ、よく煮る。それから塩を少し入れ、薺菜と鶏卵を一緒に食べる。薺菜が古ければ、よくかんで食べ、滓は吐き出す。軽症は毎日1回、重症は2回、続けて1ヶ月服用するのを一療程と言い、症状が消えても、なお1~2クール(療程)服用すべきである。広東の試料によれば、試験的に40余例を観察したところ、効果が良好と認められている。

(3)乳状の尿:新しい薺菜全草120gを煎じて濃いスープをつくり、毎日3回に分けて服用する。上海の資料によると、1~3ヶ月の連続服用後、乳状の尿は次第に消え、消失してから9~30ヶ月観察したところ、すべて病気は再発していない。

 

ナズナを食べる

・七草粥を祝う正月七日の節句はナズナが主役で「七草囃(はやし)」はまな板に七種の菜を載せて吉方に向かって「唐土の鳥と日本の土地に渡らぬさきに、なな草ナズナ手に摘み入れて・・」などと唱えながら叩いたといいます。葉は七草粥などに、根は繊維をたたいてきんぴら、炒め物、餃子の具、煎服する。

・春、花茎の出る前と秋の越冬葉を用い、軟らかい根もとから出ている葉を摘み、塩一つかみ入れた熱湯で茹で、細かく刻んで粥に入れる。生の花の部分をかき揚げ、根はキンピラにする。

・ナズナ茶(果実):炒って茶代りにする。