ツルドクダミ、何首烏(タデ科) Porigonamu multiflorum THUNB、の塊根
寄贈者 大明寺2000年
何首烏
[気味]苦・甘、微温
[帰経]肝・腎
[主治]精髄・血気の補益、黒髪が生える( 緩下整腸、補腎強壮)
何首烏社(かしゅうこそ) 髪を黒くし 精をまし 長生不死(ちょうせいふし)の 薬なりけり
何首烏こそ 鉄気を凶せ 米泔(しろみず)に 浸(ひた)してきざみ 焙り用よ
(橋本竹二郎訳『新編和歌能毒』)
ツルドクダミは中国原産のタデ科の宿根蔓草で、わが国へは享保5年(1720年)に渡来したとされ、葉がドクダミに似ているのでそう呼ばれました。
ツルドクダミは漢名を「何首烏」といい、唐時代の中国では不老長寿の薬とされていました。これを耳にした八代将軍の吉宗は中国からこの苗を取り寄せ、全国に栽培を命じたといいます。
何首烏の名前の由来は、昔、中国に“何”という王様がいて、これを服したところ、白髪が黒髪の変わって若返ったとして名づけられました。
漢方ではツルドクダミの塊根を乾燥した物を何首烏と称し、「瘰癧を治し、癰腫を消し、頭面風瘡を療し、五痔(全ての痔)を治し、心痛を止どめ、血気を益し、髭(ひげ)髪(かみ)を黒くし、顔色を悦(よろこ)ばし、久しく服すれば筋骨を長くし、精髄を益し、年を延し老いず。また、婦人産後の帯下諸病を治す。」とか「久しく服すれば人をして子をあらしむ」とあって、強壮・強精・補血・瀉下薬とし、精血の不足、腰膝の疼痛、遺精、帯下、白髪などに応用される。
民間ではアロエやセンナにふくまれている成分が何首烏に含まれているので、緩下剤として便秘や整腸の目的に使います。また、血液中のコレステロール量を低下させ、疲労による心臓衰弱にも顕著な強心作用があるとされている。
血圧降下の目的に銀杏や釣藤鈎などを配して服用するとよいようです。
古書には「腸風臓毒(腸内の悪性腫瘍)で、どうしても下血が止まらない時、粉末にした何首烏2銭(6g)を食前に服す」とある。
中国では高血圧、動脈硬化の治療のために何首烏を一旦蒸した後、これを煎じて服用したり、何首烏酒を作ったりしています。「何首烏酒」には体調を整え、体力を増強し、毒を消し、むくみをとる働きがあり、結核性リンパ肺炎やでき物などの治療に用いる。
『食経』によると仙人になる食べ物とされている。
・強壮には何首烏10~20gを煎じ、1日2~3回に分服する。
・何首烏酒:何首烏400~500g、氷砂糖300g、ホワイトリカー1.8ℓにつけ、3ヶ月間放置。1日盃一杯服用。
・高血圧・動脈硬化に中国では蒸した何首烏16gを煎じ2回に分けて服用。
・不眠・リウマチなどの痛みに夜交藤(茎葉)を煎じて服用。
・天ぷら・お浸し、粉末利用(葉、蔓先):天ぷら、お浸しなどにして食べられる。乾燥粉末に小麦粉を加えてせんべいのように焼くのもよい。