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薬草クラブ

薬草イラスト

薬草クラブ ダイズ

1、大豆

[気味]甘・温

[帰経]脾・胃・大腸

[主治]気をおだやかにし、腹中を寛(くつろ)げ、血を活し、百薬の毒を解する(健脾益胃・補気・潤燥利尿)。

 

豆は平あまくどくなしすいしゆ治す 煮てしょくすべしじんもをぎなふ(豆は平で甘く毒なし水腫治す。煮て食すべし。腎もを補う。)

まめをたたおほくしよくすな さんごには 目まひむしいでしぼりはらやむ(まめをただ多く食すな、産後には、目まい虫出で、渋り腹を病む。)

まめのこはちをうごかしてかさのどくむねもふくるるものとしるべし(まめ粉は血を動かし瘡の毒となり、胸膨れるものと知るべし)

(『和歌食物本草』)

・節分の豆まき
節分は、明日から春で、新しい年が始まるのだという、希望の前夜です。

邪気・悪鬼がわが家に入らないように御祓(おはら)いをして新年を迎えなければなりません。

夜に入れば恐ろしい「蒙古高句麗(むくりこくり)の鬼が来ると言いて、せど門窓の戸など、かたく閉して、外面には、イワシの頭と、ヒイラギの枝を、鬼の目突きとてざしいだし、内には恵比寿棚、大黒柱の隈々に、灯をひまなく立て、沈香など香(かほ)ら」し、ダイズ(大豆)を煎って歳の数に一つあまして食べ「福は内」、残る煎り豆を窓を開けて外へ向かい「鬼は外」と御祓いをします。

 

大豆は「主治 殺・鬼毒」と本草綱目にあり、とりわけ黒大豆がその効能に優れ「あらゆる毒に当たりたるに、その汁を飲んでよし」と言われる解毒剤です。

お正月のお節料理の「黒豆の煮付け」などもこのように配慮されています。

 

一年の始めは春。春は、地上の植物たちが兆し萌える候、迎春の行事は、先ず木気を迎え入れることから始まります。

それには冷たく寒い冬である水気を除き、「金剋木」である金気剋殺をしなければなりません。

春を待望する人々の流行(はや)る心は、自然の推移を天に任せておくだけではなく、人間側の考えとしての五行論を応用しての積極的な行動へと駆り立てます。

 

これが迎春の呪術である諸々の行事につながります。

節分の夜に棘の葉を持ったヒイラギ(柊)の枝にイワシの頭を刺して戸口に飾るのも、木気の邪魔になる水気(鰯(いわし))を追い払い、木に冬の付きまとうヒイラギ(柊)を戸外に駆逐します。

固く丸いものは金気、これを代償するのが大豆。

 

五行相剋では「金剋木」木気を殺す金気は火焙りにし、それを自分の年だけ食べ、噛み砕き散々な目に逢わせてから「福は内、鬼は外」の掛け声で追放する呪術です。これが節分の豆撒きと考えられます。

 

2、大豆粉・きな粉(炒り大豆の粉に白塩少々加え、よく混ぜ合わせる)

[気味]甘・温

[帰経]脾・胃

[主治]気分を穏やかにし、腹中を寛げ、腸によい。多食すれば、積(気が鬱積して痛を起こす)を動かし痰を発す。

 

3、豆腐

[気味]甘・鹹、寒

[帰経]脾・胃・大腸・肺・腎

[主治]熱を引かせ、血を散じ、赤眼・腫痛を治す。脹満を消し、大腸の濁気を下し、久痢を止め、酒毒を解する(益気和中・生津潤燥・清熱解毒・通乳)。

杏仁と一緒に煮食する場合は、杏仁が豆腐の油気を引き去るという。ダイコン汁は能く豆腐の毒を解すという。

[禁忌]ホウレン草と一緒に食べない。寒い季節や冷え症の場合は、温かい料理や温性の薬味と一緒に摂るなど工夫をしてください。(ホウレン草は、甘味があり身体を少し冷やす性質がある。)

豆腐の材料は、ダイズ とにがり([気味] 苦・鹹、寒 [帰経] 胃・肺・腎 [主治] 虫を殺し、慢性の疥癬が虫を生じたのを癒す。)です。

 

豆腐の作り方

①大豆を良く洗う
②大豆を水に漬ける
③大豆を粉砕 8~20時間後
④煮込む
⑤こし布に入れて絞る
⑥豆乳を温める 豆乳とオカラに分ける
⑦ニガリを加える
⑧固まってきた豆乳を豆腐箱に流し込む
⑨豆腐箱に重石を乗せる 10~15分くらいおくと豆乳全体が凝固
⑩水にさらす 15分間 完成

 

大豆を洗い水に浸ける 大豆を粉砕 
煮込む 絞る 豆乳とオカラに分ける 
ニガリを加える

4、オカラ

(雪花菜(きらす):料理をするのに切る必要がないの意味。『花史』に辛き物を加え食すれば、人に害する事なし)

[気味]甘、涼

[帰経]心・大腸

[主治]便秘、黄疸、食欲不振、腫脹、のどの渇きによい(清熱止血、健脾和胃)。

[応用例]①便秘:オカラ+豆乳 ②疲労回復:オカラ+ネギ、生姜 ③高血圧予防:オカラ+タマネギ

[注意]①腐りやすいので直ぐに食す②消化が余り良くない成分なので、胃腸の弱い場合は食べ過ぎに注意。

 

5、湯葉 ゆば

[気味]甘、平

[帰経]脾・肺・胃

[主治]疲労・食欲不振、肺熱の咳・汗、消渇、痰湿の咳、喘息(益気和中・清熱解毒・袪痰)。

[応用例]暑がり、イライラ、のぼせ:湯葉+大根・水菜・酢・胡麻油

 

6、豆乳

[気味]甘、平

[帰経]肺・大腸・膀胱

[主治]虚労咳・喘息・咽頭乾燥、便秘・小便不利・むくみ、消痩・疲れ・産後虚弱・喀血(潤肺化痰平喘・利尿通便・補虚養血)。

[応用]

①痰火哮喘:豆乳1碗+飴糖100gを一緒に煮る。毎朝飲む。

②虚弱:豆乳250g、粳米100g。米に水を加えて粥を作り、豆乳を加えてさらに煮る。砂糖を加えてもよい。

③血虚:豆乳+卵または龍眼肉