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薬草クラブ タラノキ

タラノキAralia elata (ウコギ科)

国内では北海道、本州、四国、九州の山野にに広く分布しています。タラノキ属は東アジア、オーストラリア、北米に約30種類が分布しています。

 

薬用部位と採集

秋または早春までに幹皮(主に根皮)を採取して、水洗いして刻み、天日乾燥したものがタラ根皮であり、材は楤木(そうぼく)と称している。

江戸後期の本草学研究書『本草綱目啓蒙』(1803)に「ツノオトシとも言う。鹿が角を落とす時期にこの葉を出す故なり。又、鹿この芽を食うて角を落とすともいう」「春月幹上に若芽を出す。形フキノトウの如し。ゆでて味噌あえにして食う。味ウドノメに似たり。故にこれをウドメともウドモドキとも言う」と記されています。

茎には鋭いトゲがあり、トゲの多いものは雄たら、少ないものは雌タラと区別します。約100年昔から福井県の山村地域に伝承された薬用植物であり、材は柔らかいので、杓子など細工物に使われます。

 

効用

根皮または樹皮が糖尿病の妙薬として広く民間薬で用いられる。

また健胃、利尿、消炎、駆血薬として腎臓病、胃潰瘍、神経痛、リウマチ、関節炎、肝炎に応用されている。

・胃炎、胃潰瘍、糖尿病には1日樹皮20gを煎服すると、胃腸の活動が盛んとなり、便秘を和らげる。

・トゲ5~10gを煎服すると高血圧に効くが、胃腸の弱い人は生姜汁と一緒に服用するとよい。

・糖尿病 タラ根皮20gに水600mlを加え、2/3量に煎じて1日3回に分けて服用。

タラ根皮20g、連銭草12g、イチイ15gを混ぜて、800mlの水で2/3量になるまで煎じて1日3回に服用する。その他、枇把葉や蕃か果やフジバカマを一緒に加えて煎じる。

・胃腸病や関節炎、神経痛 1日量20gを煎じて服用。

・以前、胃癌に効果があると報道された

 

野草を食べる

若芽が6㎝ほど伸びたものを、天ぷら、ゆがいておひたし、ごまあえに。刻んでタラ飯もよい。タラノメ田楽は山で働く人たちが、たき火で焼いて、みそをつけて食べたもの。天ぷらが一番。甘煮が最高など味覚は人さまざまだが、春の山菜の王者である。

・粉末で利用:生長した葉は乾燥粉末にして、汁の実や団子、お好み焼きに入れる。

・薬酒:樹皮を刻んで約3倍量のホワイトリカーに漬ける。果実は実をほぐして5倍量のホワイトリカーに漬ける。1年以上おく。