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薬草クラブ キジュカ(喜樹果)

キジュカ、喜樹の果実 Camptotheca acuminate

中文名稱 喜樹,旱蓮木,千丈樹,水白雜,千張樹,水漠子,旱蓮

寄贈者名 岐阜薬科大学

 


 

薬用部位・開花・採集時期:

開花8月、果期10~11月。抗腫瘤(根・葉・茎・果)、避妊。

 

繁殖法:

4月に種子蒔き

 

喜びの樹は命の木 中国原産のヌマミズキ科カンレンボクは、強い生命力と多くの実をつけることから、子孫繁栄にたとえられる喜びの木として喜樹(キジュ)と呼ばれています。

従来、庭木、街路樹や加工材として用いられてきましたが、抗ガン効果が知られたことから、cancer tree、tree of life、happy treeなどとも呼ばれます。

 

果実 [気味]苦・辛、寒。有毒 [主治]清熱解毒,散結消癥

喜樹葉 [気味] 苦、寒。有毒 [主治] 清熱解毒,祛風止痒

喜樹皮 [気味] 苦、寒。有毒 [主治]活血解毒,祛風止痒。

 

喜樹の根や葉や果実は古くから抗菌・抗腫瘍作用が知られ、中国では古くから皮膚疾患やがんの治療に民間薬として利用されていました。

1:治胃癌,直腸癌,肝癌,膀胱癌: 喜樹根皮研末,每日3回,每次3g。喜樹果研末每日一回每回6g(辯證施治)

2:治疔腫、瘡癰初起: 喜樹嫩葉一握,加食鹽少許(搗爛)外敷。(江西中草藥學)

 

漢方では喜樹は果実と根が薬用として利用されています。果実は秋から初冬に採取して天日で乾燥します。厚生労働省の食薬区分では、「喜樹の果実」は食品に分類されていますが、漢方治療ではその強い抗がん活性が利用されています。

カンプトテシンは果実に最も多く含まれます。果実にはカンプトテシン以外にも、ヒドロキシカンプトテシン、デオキシカンプトテシンなどの抗がん成分が含まれています。

がんの漢方治療において喜樹は、慢性リンパ性白血病や慢性骨髄性白血病、胃がん、大腸がん、肝臓がん、肺がん、膀胱がんなどの治療に使用されています。

果実の場合、煎じ薬には1日量3~9グラムを使用しています。

 

西洋医学で現在使用されている抗がん剤の中には薬草から分離されたものが多くあります。合成薬のような切れ味はありませんが、薬草に含まれる抗がん成分を利用することによって、がん細胞の増殖を抑えることは可能です。

また、イリノテカンの副作用として下痢が問題になりますが、漢方薬に含まれるフラボノイドなどの成分がイリノテカンの下痢を予防することが報告されています。

したがって、抗がん成分を含む生薬と、その副作用を緩和する生薬を組み合わせることのより、副作用の少ない抗がん作用をもった漢方薬を作成することができます。

 

米国癌研究所(NCI)の抗腫瘍活性薬開発のスクリーニングの過程で、カンレンボクに強力な抗腫瘍活性が見出されました。その後1966年、米国のWallやWaniらは、抗腫瘍成分のカンプトテシン(camptothecin)というキノリン系アルカロイドを単離しました。しかし、カンプトテシンは強い副作用のため米国では抗がん薬としての開発が中断されましたが、日本の製薬メーカーにより開発が継続され、カンプトテシン誘導体のイリノテカン(irinotecan)が抗癌剤として市販され、切れ味の鋭い抗がん剤として利用されています。国内では、大腸がんや肺がん、子宮頸がん、卵巣がん、胃がん、乳がん、悪性リンパ腫等に適用される薬剤で、今日のがん臨床で広く用いられている極めて有望な抗がん剤です。