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薬草クラブ アズキ


小豆 アズキ Phaseolus calcaratus POXB.  マメ科

 

[気味]甘・酸、微寒
[帰経]心・小腸
[主治]気分をおだやかにし、湿を取り除き、尿の出をよくし、腫を引き、一切の熱毒・風腫(風邪を受けて腫れるもの)・癰腫を取り去る。胞衣(えな)を下し乳汁の出をよくし、急性伝染病の高熱を取り、魚毒を解す(利水消腫・清熱利湿・退黄・解毒排膿)。
赤小豆こそあますゆく平どくはなし水をくだしてねつさますなり(あずきこそ甘酸ゆく平で毒はなし水を下して、熱さますなり)

あづきこそようはれののうをさる小べんつうじくだりはらとむ(あずきこそ、癰や腫れ物の膿みを去る。小便を通じ、下り腹を止む)

あづきこそちやうまんによしかわきとめすいしゅにもよしすこしくふべし(あずきこそ、脹満に良し。乾きを止め、水腫にも良し。少し食うべし)

(『和歌食物本草』)

中国、または日本の原産といわれ、栽培の中心が日本です。昔から脚気の妙薬とされ、塩・砂糖を加えずにそのまま煮て食べます。利尿作用を促してむくみをとります。その他に便秘、痔出血、痔核、酒酔い、吐き気、獣肉の中毒、食あたり、はれもの、夜尿症、母乳不足、卒倒、気絶、灸のあとのただれなど、幅広く使われます。

副作用がなく、食するに慣れているアズキは、元禄年間より栽培法が普及し、農民の備蓄作物として大切にされました。

 

✡アズキは解毒の特効薬

アズキにはビタミンBが多く、解毒・緩下作用が大きく、アズキの皮は腸の蠕動を盛んにして腸壁の汚れをとる働きをします。また、特殊成分のサポニンが多く含まれ、腸を刺激して便通を促し、毒素を出します。ゆでアズキは解毒、便通の効果が大きく、便秘によいのですが、白砂糖を使った場合には逆に便秘になりやすい。甘いあんこ物は、肥満を作るだけでなく、細胞の働きを鈍くして便秘になりやすく、毒素がたまるため皮膚も汚れてしまいます。

アズキは、お赤飯・小豆飯・汁粉・おはぎなど、デンプン質の食品と組み合わせて使うことが多いのですが、デンプンの消化に大切なビタミンBが多いので理にかなっています。ただし、白砂糖をたっぷり使うと、たちまち効果が半減するので、甘味はなるべく少なく抑え、黒砂糖やハチミツを利用した方が効率はよいのです。

新年にアズキ粥を食すると、新しい年が無病息災になるという厄払いの意味があります。

 

効用

・腎炎や脚気の水腫、膀胱炎などの小便不利の場合には、1日分30gほどを3合の水で30分ほど煎じて、その煎液を服せばよい。この場合、アズキを適時増量し(100g位)、鯉1匹と煮て、鯉の肉もいっしょに食せば一層効果的です。薬味にショウガを入れても良いです。

・一般に栄養不良や貧血を伴った水腫には落花生(薄皮つき)やナツメをそれぞれ適量、一緒に煎じて、その煎液を長期間飲むとよいです。

・膀胱炎や血尿には、赤小豆と長ネギをよく炒って、酒にすりおろし、その熱いものを服すとよいです。

・便秘にも煮アズキがよい。更にその汁にゲンノショウコの煎汁を混ぜることによって、効果は倍加します。(ゲンノショウコはお茶代わりに熱湯をそそいだだけで飲めば軽い便秘が治り、濃く煎じて服用すれば下痢を止める)

・水腫を下し、癰腫膿血を排します。

・小麦の熱毒を解す。汁に煮て酒病を解し、油濃い物を解す。

・温病を避け、産難を治し、胞衣を下し、乳汁を通ず。鯉魚・れん魚・黄雌鶏に和して、煮て食せば、能く水を利し腫れを消す。

・腎炎、脚気、栄養性水腫には、アズキ60~90g、トウガ(冬瓜)250~500gを一緒に煮て、スープを飲むとよいです。

・疲れ、便通、排尿が悪かったり、腎臓の弱い人などは、ゆでこぼさず煮たアズキをうす塩味でおわん1杯くらいご飯の代わりに食べると便通があり、お小水の出もよくなって身体が軽くなります。

・疲れて身体が重いときなどは、朝におわん1杯の塩味のゆでアズキを食べると疲れが取れます。どうしても甘味がほしい方はハチミツ少々入れますが、塩味のほうが効果があります。

 

アズキを食べる

・赤飯

・アズキは、甘味と酸味があり少し冷やす性質がある。 効能は、気分穏やかにし、湿を除き、利尿消腫、乳汁の出をよくし、急性伝染病の高熱を取り、魚毒を解す。

・もち米は、甘味があり身体を温める性質がある。効能は、腸肺虚弱による疲労・食少ない・下痢・便秘・頻尿・自汗冷え症。

・ゴマは甘味があり平性の性質があります。効能は、早期白髪、頭のふらつ、目がかすむ、耳鳴り、肢体のシビレ、腸燥便秘(黒は腎、白は肺に作用する)。

・塩は、甘味と鹹味があり冷やす性質があり白色です。効能は、脾胃を調和し、食べ物を消化し、食中毒を解す。

考察 赤飯のバランスを表にしてみましたが、四気はもち米の温性をアズキと塩によって平性となり、五味は酸味と甘味、鹹味に配され、日本食としてはおもしろいバランスを保っています。臓腑経脈は全てに帰入しています。これに味噌汁と漬けものを添えれば万全な食事となります。

  

・かいもち(おはぎ)

昔はもち米が高価であったので庶民にとっては、日常、なかなか食べられるものではありませんでした。そこで、もち米の代わりにサトイモの粘りを利用しておはぎを作りました。
精白米を里芋とともに軟らかめに炊いたので、粥餅〈カユモチ〉がなまって〈かいもち〉といわれるようになったとされています。里芋が収穫できる秋によく作られています。また、米の収穫のお祝いとして「刈りかべ」という祭りがあり、かいもちおはぎを神仏にお供えし皆で食べたものです。

 

材料

アズキ餡(アズキ 250g、甘茶5g、天日塩小さじ1杯)
いも餅(サトイモ 中5個(250g)、米(うるち米)カップ4、水カップ4.8ℓ、塩小さじ2、きな粉15 g)

 

作り方

・トッピングする餡(アマチャで甘味を付ける)を作る

①アズキを洗い水を入れて沸騰させる。お湯を捨てる。

②前もって甘茶5gに水500mlをいれて10分間煎じ、さましておく。

③①のアズキに②の甘茶液を浸すくらい入れて弱火で煮る。天日海塩を小さじ1杯加える。途中、水気が少なくなったら甘茶液を足し、アズキがやわらかくなるくらいまで1時間ほど煮る。アズキをつぶして餡にする。

 

・いも餅を作る

①サトイモは皮をむき、米は30分前に洗っておく。

②米、サトイモを入れ、水を加え、普通のご飯のようにして炊き上げる。

③ご飯が炊けたら、すりこぎで粘りがでるまでつぶす。塩を加えてさらによくつぶす。

④卵大の大きさに丸め、アズキ餡、きな粉をつけて皿に盛る。(米1合で7個の割合)

 

各食材・調味料・薬味の四気・五味・効能

・米は甘味があり平性の性質がで、効能は、気力増進、血脈を通し、五臓を和らげ顔色良くする。米は少しも毒気ない。

・サトイモは甘味と辛味があり平性の性質で、効能は、食欲を増進、肌理をちみつに、体内に凝結したものを排泄する、産後の古血を除去する。

・アズキは、甘味と酸味があり少し冷やす性質で、 効能は、気分穏やかにし、湿を除き、利尿消腫、乳汁の出をよくし、急性伝染病の高熱を取り、魚毒を解す。

・甘茶は、甘味と苦味があり少し冷やす性質で、効能は、抗アレルギー・抗酸化、インスリン活性、歯周病原因菌への特異的抗菌、胃粘膜保護、利胆および神経安定、皮膚のオートワアジーを活性です。

・塩は、甘味と鹹味があり冷やす性質があり白色です。効能は、脾胃を調和し、食べ物を消化し、食中毒を解す。


考察:砂糖を使わず、甘味には甘茶と塩を使います。米とサトイモは煮ることによって温性となり、寒性のアズキと塩によって陰陽のバランスを保っています。五味は全てに配され、臓腑経脈は木(肝・胆)以外に帰入しており、美味しくいただけます。