アカヤジオウ、地黄(ゴマノハグサ科)肥大根を用いる
Rehmannia glutinosa LIBOSCH.var. purpurea MAK.
千年以上の昔、中国から伝来した薬草です。10世紀始めに山城国(今の京都府南部)で栽培されていました。また尾張国、相模国からも、根の乾燥したものが朝廷に献上されています。江戸時代には、現在の奈良県高田市付近、石川県金沢市などで大量に栽培され、滋養強壮薬として当時の人気を集めていました。
4月の春日和の温かい日差しの中、腰をかがめると淡紅紫色の花が目に止まります。奈良時代の昔を偲びと共に、とても感動を覚える愛らしく珍しい花です。
生のままを鮮地黄、乾燥させたものを生(乾)地黄、蒸した物を熟地黄として漢方薬の八味地黄丸や四物湯、炙甘草湯などに配合される大切な薬草の一つです。
生地黄(しょうじおう)
[気味]甘、苦、寒
[帰経]心、肝、腎
[主治]①清熱滋陰 ②涼血止血 ③生津止渇
[参考]
新鮮な鮮地黄、乾燥させた乾地黄は共に、性味は甘苦・寒で清熱凉血・滋陰生津の効能を持ち、温病の熱入営血・熱盛傷陰・血熱妄行などに応用される。
ただし、鮮地黄は、苦味が甘味よりの強く、性は大寒であり、清熱凉血にすぐれているので、熱入営血や血熱妄行に適している。乾地黄は、苦味よりも甘味が強く、滋陰養血にすぐれているので、陰虚陽亢・血虚化燥に適している。つまり、熱盛の時期には鮮地黄が、後期で傷陰があり余熱の残っている時期には乾地黄がよい。
熟地黄(じゅくじおう)
[気味]甘、微温
[帰経]心・肝・腎
[主治]
①補血調経:四物湯:当帰・川芎・芍薬・地黄各4.0、
②滋腎益精:六味地黄丸:乾地黄6.0;山茱萸・山薬・沢瀉・茯苓・牡丹皮各3.0;煉蜜
[要点]
熟地黄は甘温で味は厚く柔潤であり、滋陰養血するだけでなく生殖補髄生骨し、補益肝腎の要薬である。
肝血不足の萎黄・目眩・心悸・婦女崩漏・月経不順・痛経、腎陰不足の腰痠脚軟・痩弱・遺精・潮熱盗汗・消渇、さらに精血両虚の頭暈眼花・耳鳴耳聾・鬚髪早白などに、主薬として用いる。
前年から落ち葉や堆肥を入れて予め用意しておいた畑を、もう一度よく切り替えし耕して土を膨軟にしてから整地し、スコップ巾二つ分ぐらいの溝を掘り、土は両側に均等に上げて置きます。この溝の中へ十分に腐熟した堆肥を入れ、合い土をし、そして更にその上に再び堆肥を置き合い土をします。この操作をもう一度繰り返すと、巾50㎝、高さ40㎝ぐらいの台形(梯形)の植え付け床が出来上がります。この肩のあたりに苗を植え付けてゆきます。苗は、予め蓄えておいた鉛筆ほどの太さの根を、5㎝ほどに折り、これを苗にし、株間は10㎝内外、浅く斜めに、先端を少し地上に覗かせる程度に植え付けます。植え込んだあとは、敷き藁をして萌芽するまでは細心の注意をし、乾燥しないように心掛け、成育の様子を観ながら油粕のような有機質肥料を月に一回ぐらい置肥えとして施し、十分な肥培管理をすれば十一月ごろには太い紡錘形の肥大根を収穫することができます。
掘り取った生の地黄は、生地黄(しょうじおう)と呼び「血を涼(さま)し、血を補い骨髄を填(うず)め、肌肉(きにく)を長じ手足の熱痛、煩熱を治す」と言います。「地黄生(じおうしょう) 銅鉄(てつ)凶(い)むぞ能(よく)洗い 日にほしあぶり是(これ)を用(もち)よ」が調整法で「地黄生 産後血上がり胸痛み 五心の熱や絶死をも治す」というのがその効用です。
生の地黄をそのまま放置すると固く干乾びてしまいます。これも生地黄と呼ぶれるため、まだ生きている新鮮な根の方を「鮮地黄(せんじおう)」という人もいます。とにかくこの生きている地黄は、一般に市販されていません。
「地黄生銅鉄忌むぐ能く洗ひ日にほしあぶり是を用いよ」と、これは生薬の調製法を三十一文字に表したもの。畑に培養する生きている根を鉄で作られている鎌で傷めると、やはり回復に遅れをみせます。素手で指先に神経を集中しての除草作業が、植物への愛情です。
根を煮てスープにする。煮物の煮汁に使う、生のものを煮たり炒めたりして食べる。掘り取った生根を食す。粥(かゆ)、飯に炊き込む。
煮汁(煎汁)をさらに煮つめて飴にする。これを地黄煎(じおうせん)、地黄飴(じおうあめ)と呼ぶ。
正月の十五日が鏡開きで小豆粥、地黄粥、いずれも無病息災を願っての健康指向。地黄粥もその一つで、これを食べると一年中の邪気を除くのだといわれます。
✡作り方:普通に作る白粥の出来上がる寸前に、生地黄を細かく切り、これを鍋の中に入れ、塩で味を付け、火から下ろして少々蒸らして置けば、これで地黄粥の出来上がりです。温かみのある鮮黄色の地黄粥は、見る目に新鮮で、この粥を食べると身体中が温かくなり汗ばんできます。