中国医学では古くから「医食同源」といい、病気は口から治すという考え方があります。
食べ物も薬も源は同じという考え方で、その考えに基づき、食べ物を上品薬(じょうほんやく)、中品薬(ちゅうほんやく)、下品薬(げほんやく)に分類しています。
・上品薬は、食べ物、毒性がなく毎日食べても大丈夫なもの
・中品薬は食べ物と薬の間、少し毒があるので取り扱いには注意を払うもの
・下品薬は薬で毒性が強く、取り扱いに注意が必要なもの
そしてそれらを取り扱う医者も、上医、中医、下医と区分され、一番えらい医者は上医です。病気になる前の「未病(みびょう)」の段階で患者さんを治す、薬ではなく食べ物で治す医師です。今もっとも関心を集めている「予防学」につながる考え方です。
薬膳は母の料理。医食同源の考えで作られる食事が「薬膳」です。
この薬膳という言葉ですが、『後漢書・烈女伝』孟子編に、「母親調薬膳 思情篤密」という言葉が出てきます。
「母親の作る薬膳料理は心のこもったものである」という意味で、家族の健康を考えて作る母親の料理こそが薬膳であると考えられていたのです。