[気味]甘・辛、涼
[帰経]肝・大腸・小腸
[主治]食欲増進、芳香性健胃薬、大小腸を丈夫にし、黄疸を除き、酒後の熱を去る。
正月七日にその年の無病息災を願って七草の粥を作って食べる習慣があります。
あかねさす 昼は田賜びてぬばたまの 夜のいとまに摘める芹これ (葛城王(かつらぎのおおきみ)『万葉集』巻二十 4455)
(明るい昼の間には班田収授の業務に携わり、暗い夜に田んぼで摘んだ芹がこれですよ。)
丈夫と 思えるものを太刀佩(たちお)きて かにはの田居に芹ぞ摘みける 薩妙観命婦(さつみょうかんのみょうぶ)
万葉集で、葛城王(かつらぎのおおきみ)がセリに添えて贈った詩に、薩妙観命婦(さつみょうかんのみょうぶ)は太刀をさげたままセリ摘みをしたのでしょうねといっているようです。セリの花言葉は“誠意”とか、なんとほほえましい優雅な一コマが目に浮かんできます。
芹(せり)、薺(なずな)、御形(ごぎょう)、繁縷(はこべら)、佛座(ほとけのざ)、菘(すずな)、蘿蔔(すずしろ)これで七草
正月七日にその年の無病息災を願って七草の粥を作って食べる習慣は古くからあります。
『神農本草経』に「婦人の血尿を治し、血を止め、精を養い、血脈を保ち、気を増し、人体を壮健にし、食を進める。」
『本草拾遺』に「小児の暴熱・大小の酒後の熱・鼻づまりを治し、身熱および頭中の風熱を去り、口歯を利し、大小腸を利する。」
『本朝食鑑』に「大腸・小腸を利し、および黄症(腸中に熱の出る症)を泄(のぞきさ)る。酒後の熱を去る。」と記されています。
民間でも、婦人の貧血症や風邪の熱証・鼻血・虫歯の痛みなどに使ったとのこと。
漢名を水芹といい、その薬効は「大腸・小腸を利し黄疸を除き、酒後の熱を去る」とされ、民間薬としては、セリは葉や茎を新鮮な状態で食べて食欲増進に、また青汁として芳香性健胃薬に用います。サーッとゆでて浸し物などにして食べると、黄疸・解熱・神経痛・リウマチによいといわれる。その他、虫歯の痛みや耳鳴りにも使われます。
・香りと歯ざわりを楽しむ
香りと濃い緑色をうまく生かすには、煮すぎないこと。野セリはアクが強いので、灰汁に浸したり、重曹を使って茹でてアクを抜く。サラダ、お浸し、和え物、混ぜご飯、なべ物、すき焼き、天ぷら、炒めものによいです。
・味噌漬け
根を切って洗い、水分を取る。パットに味噌を薄く塗り、ガーゼを敷いてその上にセリを並べ、ガーゼを折りかぶせてその上にセリを並べ、ガーゼを折りかぶせて再び味噌を塗る。これを2回くり返したら、きっちりとしたふた、またはラップでおおって冷蔵庫に保存。2日目から食べられる。