エジプト原産地です。インド、中国を経て古く日本へ渡来しました。シルクロードを最初に旅した漢の使
者張騫(ちょうけん)が、大苑(だいえん)国から油麻の種子を持ち帰り、それまで作られていた中国の大麻と区別するために胡麻と呼びました(中国では西域の国を「胡」といい、「胡椒(こしょう)・胡瓜(きゅうり)・胡桃(くるみ)」なども西の国から持って来たもの)。
[気味]甘、平
[帰経]肺・脾・肝・腎・大腸
[主治]黒胡麻は腎に作用し、白胡麻は肺に作用する。共の五臓を潤し、血脈を調和し、大腸・小腸の調子を調え、毛髪を黒くする。カルシウムが豊富で、アミノ酸も多く、細胞に活力を与え、アルカリ性で血液浄化作用もある。肝臓を強め、解毒作用があり、便秘にもよい(滋養肝腎・補益精血・潤燥滑腸)。
黒ゴマ
[気味]甘、平
[帰経]肝・腎
[主治]耳鳴り、頭痛、めまい、ほてり、微熱、盗汗、白髪、疲労、皮膚乾燥、腸燥便秘(滋補肝腎・養血益精・滋潤滑腸)。
白ゴマ
[気味]甘、寒
[帰経]肺・脾・大腸
[主治]皮膚の乾燥・赤み、筋肉の無力、痰、便秘、頭痛、めまい、頭部瘡瘍(清熱滑腸・行気通脈)。
ごま油
[気味]甘、熱
[帰経]肺・脾・肝・腎・大腸
[主治]熱毒を下し、大腸・小腸の調子をよくし、虫毒を解する(通便・解毒・潤燥)。
胡麻はあぢハひあまく微寒なり さんごにゑなのおりざるによし(ゴマは味わい甘く微甘なり、産後にえなの降りざるによし)
くろごまをおほくしょくすなこゑかるゝ あぶらはかさにつけていゆべし(くろごまを飽食するな声枯れる、油は瘡に付けて癒ゆべし)
くろごまのあぶらをあしのうらにぬれ はやミちとなりくたびれもせす(くろごまの油を足の裏に塗れ、早道となりくらびれもせず)
白胡麻ハあまく大かんようをはれ いたミをとめてにくをしやうする(白胡麻は甘く大寒、癰を貼れ、痛みを止めて肉を生じる)
しろごまをなまにてすりておさな子に かしらのかさにつけてなをれり(白胡麻を生にすりて、幼子に、頭の瘡につけ治れり)
しろごまははだへうるをしきよらう治し 血すぢをつうじ風をさるなり(白胡麻は、肌を潤し、虚労を治し、血筋を通じ、風を去るなり)
しろごまは諸薬にきらふものぞかし ひゐのどくなりはこそそんずれ(白胡麻は、諸薬に嫌うものぞかし、脾胃の毒なり、歯こそ損ずれ)
(『和歌食物本草』)
種子の色で3種類に分ける。白色は白ゴマ、黄褐色を金ゴマ、黒色を黒ゴマと呼んで区別します。白ゴマ
は油の含有量が最も多く、江戸時代からゴマ油には白ゴマが使われた。黒ゴマは特有の香りが強く、ゴマ和えやゴマ塩など料理に主に使われる。金ゴマはさらに香りがよい。
黒ゴマを薬用に。人見必大著『本朝食鑑』には「黒胡麻は腎に作用し、白胡麻は肺に作用する。共の五臓を
潤し、血脈をよくし、大腸・小腸の調子を調える。」と記されています。著者の人見必大は、本書の中で、
「父は、黒胡麻・胡桃肉・枸杞葉・五加葉・山椒・白塩を調合して飯の後に服用していた。老を終わるまで
強健で無病であった。」と、記しています。
成分は、リノール酸、パルミチン酸などからなり、脂肪油以外に特殊成分のセサミンやカルシウム、ナト
リウムなどのミネラルも多く、アルカリ食品である。
たくさんの栄養素が含まれていて、中国ではごまのことを「食べる丸薬」と呼ぶほど栄養価値が高い食品です。
これらの成分が含まれていることによって、高血圧、貧血、便秘、冷え性、夏バテなどの症状の緩和や改善する効果や老化を防止する働きもあり、昔から薬代わりに使われていたという経緯もあります。ゴマに含まれる脂質には、リノール酸やオレイン酸といった血中コレステロールを下げる働きのある不飽和脂肪酸が含まれています。
ただし、ゴマの成分のほぼ半分は脂質という性質上、ごまはカロリーも高いため、摂り過ぎには十分気をつけましょう。
また、ごまは硬い殻(外皮)に覆われているので、そのまま摂取するとせっかくの栄養性分が吸収されずに消化されてしまうため、すりつぶすなどして、摂取されやすい形で食べるのが効果的です。
食用としては、「胡麻(ごま)化(か)す」の俗語が示すように、どんな食物にもうまみを増し、『美味(うまみ)に化(ばか)す』ので、炒り胡麻、切り胡麻、胡麻塩、胡麻和え、あたり胡麻、胡麻豆腐、胡麻味噌、揚げ物などに使われます。
静神丸 胡麻と蜂蜜を合せ丸剤にしたもの。胡麻は油に溶ける殆どの栄養素を含み、蜂蜜は水に溶ける栄養素に富んでいます。
- そうめん:めんつゆにすりごまを入れて。
- うどん:ざるうどんなどのタレにすりごまを入れて。
- ところてん:白ごまをすりおろして。
- 冷奴(おすすめ!大豆に含まれるビタミンEと好相性):すりごまをかけて。
- 納豆:すりごまをかけて。
- 焼肉:白ごまをタレに入れて。
- トンカツ:白ごまをすりおろしてソースと一緒に。
- 赤飯:黒ごまを塩と混ぜてごま塩を作り、ふりかけて。